コラム
機械式駐車場問題を考える

第41回:機械式駐車場の鋼製平面化 安全性を高める耐久性

皆さんこんにちは。
 
機械式駐車場を撤去・平面化工事を実施する際、
「平面化工事後の耐用年数」、「平面化後の維持・管理」、「平面化後のメンテナンス・入替工事の必要の有無」等、平面化後「どれだけ安全に長く使えるか」はとても重要なポイントだと思います。
 
「どれだけ長く安全に使えるか?」即ち機械式駐車場の鋼製平面化(鋼製床)の耐用年数は、床材の耐久性によって決まります。そして、床材の耐久性には、「物理的耐久性」と「化学的耐久性」の2つの種類があります。
物理的耐久性は、床材に使用する鋼材の厚みを指し、化学的耐久性は、床材に使用される鋼材のメッキの厚みを指します。
今回のコラムでは、「どれだけ長く安全に使えるか?」という問いに対し、鋼製平面化で使用する鋼材床材の材質に焦点をあて、「物理的耐久性」と「化学的耐久性」の観点から、機械式駐車場の鋼製平面化の耐久性について詳しく解説し、ノムラのマルチステージの耐久性や使われている鋼材の材質について紹介いたします。

鋼製平面化の安全性を高める耐久性|物理的耐久性

機械式駐車場の鋼製平面化において、「物理的耐久性」とは、使用される床材の厚みと、タイヤの集中荷重を分散させることができる鋼製床の構造の二つの特性を指します。
床材の厚みは極部変形が起こらない最低限の厚みが必要であり、また厚みがあると耐久性も単純に上がります。
例えば、同じ車が何度も入庫する場合には、タイヤの軌道が同じになるため、特定の床材が傷む恐れがあります。
 
そこで、ノムラのマルチステージと他社の鋼製平面床の特性を比較しながら物理的耐久性について見てみましょう。
 

ノムラのマルチステージのメリット|集中荷重を分散する構造

マルチステージは、床材と梁材を接合した網状の合成構造(特許取得)|(第15回コラム)になっており、タイヤの集中荷重を分散する(第18回コラム)ことができるため、耐久性が向上します。一方他社の鋼製平面床は梁と床材、柱を直接ボルトで絞める構造になっており、これでは集中荷重を分散することが出来ず、さらにはボルトが緩む原因にもなります。
 
ボルトが緩む原因そして、ボルトの緩みによる平面化後のメンテナンスの必要性について、
詳しくは、第13回:「機械式駐車場撤去・平面化後のメンテナンスの必要性」をご参照下さい。
 

ノムラのマルチステージのメリット|厚みのある鋼材床材を使用

さらに、他社の床材の厚みは2.3mmですが、マルチステージは厚みが3.2mmと、構造材として使用されることでより頑丈な床材となっています。また、鋼材の厚みの数値を見てみても、マルチステージで使用する鋼材の厚みの違いがわかります。他社に鋼材床材の厚みを確認する際は、口頭ではなく仕様書の提出を推奨します。
 
マルチステージは物理的耐久性に優れ、車が入庫している時の床材にかかる負担を分散することができます。また、同じ車が何度も入庫してもタイヤにかかる車重が分散して広がるため、特定の床材が傷みにくく長期的な使用にも適しています。

 
厚みのある床材を使用している鋼製平面化|マルチステージ

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鋼製平面化の安全性を高める耐久性|化学的耐久性

「化学的耐久性」とは、機械式駐車場の鋼製床材に使用される鋼材のメッキの厚みを指し、メッキの厚みが増すほど耐久性が向上します。駐車場の場合、メッキの耐用年数はタイヤの摩擦によるメッキの摩耗で決まります。そのため、床材の耐久性を高めるために、メッキの付着量が重要となります。
メッキには、製品が完成してからメッキ工場で施す「溶融亜鉛メッキ」と、製鉄所で鋼板をメッキしてから製品にする「鋼板メッキ」があります。メッキ工場で行う「溶融亜鉛メッキ」は、 1平方メートルあたり約 450グラムのメッキが付着する一方で、製鉄所でメッキした「鋼板メッキ」は、同じく 1平方メートルあたり約 275グラムのメッキが付着します。この 2つのメッキ方法のメッキの厚みを比較すると、「溶融亜鉛メッキ」の方が 約1.6倍の耐久性があることがわかります。
 
メッキ工場で行う「溶融亜鉛メッキ」のメッキ付着量… 450g/㎡。
製鉄所でメッキした「鋼板メッキ」付着量… 275g/㎡。
450g/㎡÷275g/㎡= 1.63
 
以前、平面化工事に関して勉強されているお客様からメッキに関して質問を頂いたのでご紹介します。その質問は、「製鉄所でメッキした鋼板メッキの方がキレイなのでは?」という質問でした。確かに見た目の綺麗さ、光沢や輝きで言いますと製鉄所でメッキされた鋼板メッキは綺麗です。しかし使用目的が駐車場となりますと、車が行き来し耐久性が求められる駐車場の性質を考えますと、駐車場(鋼製平面床)で使用されるメッキは見た目の綺麗さより、厚みがあるメッキを選ぶのが駐車場では最適です。
駐車場のメッキの耐久性はメッキの厚みに比例します。ノムラのマルチステージは、床材の耐久性を高めるために、メッキの付着量の多い溶融亜鉛メッキ(高品質)を使用しています。
溶融亜鉛メッキを使用している鋼製平面化|マルチステージ

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安全性を高める鋼製平面化の耐久性とは

本コラムでは、鋼製平面化で使用する床材の耐久性について、物理的耐久性と化学的耐久性の二つの観点から解説しました。物理的耐久性においては、床材の厚みやタイヤの荷重による負荷を分散する能力が重要であることを述べ、マルチステージ床材の物理的耐久性の優位性についても紹介いたしました。
一方、化学的耐久性においては、メッキの厚みが重要であり、車の入出庫が多い駐車場の特性を考慮すると、鋼製平面床の鋼材床材で使用されるメッキは厚みのある溶融亜鉛メッキを使用することが適しています。厚みのあるメッキが耐久性の向上に繋がります。
 
機械式駐車場の鋼製平面化において「どれだけ長く安全に使えるか」という問いに対し、物理的耐久性と化学的耐久性を兼ね備えた床材の採用が重要であり、ノムラのマルチステージがその要件を満たしており、機械式駐車場の撤去・平面化において最適な解決方法であると思います。
耐久性に優れた鋼製平面化の鋼材

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一級建築士・機械式駐車場開発者
野村恭三