第４０回：機械式駐車場の平面化ガイド：機種別解説と注意点

機械式駐車場の立地と機種によって異なる鋼製平面化工事の対策

機械式駐車場の鋼製平面化は、屋外か屋内、２段式か３段式、機械式駐車場が設置されている場所の条件等で、それぞれの特性と留意点が存在します。 

屋外の機械式駐車場の鋼製平面化

２段式機械式駐車場・３段式機械式駐車場の鋼製平面化の違いと特性

まず、２段式（地上１段・地下１段）と３段式（地上１段・地下２段）の昇降式の駐車装置で焦点となるのはピットの深さです。
単純にピットの深さは２段式より3段式の方が深いです。この深さが鋼製床で平面化する場合、大きく影響します。
 

クリックして拡大

昇降２段式（地上１段・地下２段）と昇降３段式（地上１段・地下２段）
機械式駐車場コンクリートピットの深さの比較
 
まず、鋼製平面化で柱を設けてしまったらバランスの悪い構造になってしまいます。次に影響が出るのが、車を駐車した際の鋼製床に掛かる荷重の問題が挙げられます。荷重の問題は鋼材床の歪みの原因となるので、歪んだ箇所の修理や鋼製床板材の交換にもつながります。ピットの深さが深ければ深い程、鋼製平面化は鋼製床でピットの補強と剛性を高める事が重要になってきます。
 
ピットの深さに関わる鋼製平面化については、詳しくは、 第３１回：３段式機械式駐車場の平面化の特性と留意点をご参照ください。 
 

屋外の機械式駐車場のピットが建物と接している場合の鋼製平面化の注意点

クリックして拡大

クリックで拡大

屋内（地上・地下）機械式駐車場の鋼製平面化

屋内（地上階・地下階）にある機械式駐車場を撤去・鋼製平面化をする場合は、「機械式駐車場が設置されている駐車場路面にヒビ割れが発生していないか 」が注意しなければならない点です。もし、駐車場路面にヒビ割れが発生しているのであれば、耐震補強と平面化を実施する際に、 脆弱になったピットの補強と 耐震補強が必要になります。
ヒビ割れが路面から壁に繋がっている場合も更に危険です。

クリックで拡大

屋内地下　機械式駐車場　駐車場敷地内の路面のヒビ割れの様子①

屋内地下　機械式駐車場　駐車場敷地内の路面のヒビ割れの様子②

クリックで拡大

屋内地下　機械式駐車場　駐車場敷地内の路面のヒビが壁に向かっての様子③
 
屋内の機械式駐車場（地上・地下）を平面化する際は、駐車場路面に発生しているヒビに注目します。このヒビの原因と意味、ヒビが発生するメカニズムを理解した上で、鋼製床の平面化の際に脆弱になったピットの補強と耐震補強を施します。屋内の機械式駐車場を鋼製平面化する際はこのヒビの問題を見落とさずに、駐車場だけでなく建物全体の本質的な問題の対策が鋼製平面化には求められます。
屋内の機械式駐車場の平面化の特性と留意点について詳しくは、 第３９回：屋内地下機械式駐車場の平面化の特性と注意点をご参照ください。
 
 

まとめ

鋼製床による機械式駐車場の鋼製平面化は、機械式駐車場が設置されている場所や機械式駐車場のスペック、そして機械式駐車場が設置されている場所の環境下による条件や状態によってそれぞれの特性や留意点が有る事をご紹介して参りました。今回のコラムでは、各機械式駐車場の種類ごとに概略的に説明して参りましたが、より詳しく平面化についてご関心があれば、ノムラの機械式駐車場の撤去・平面化に特化した記事（平面化一覧）をご一読いただければと思います。
 
一級建築士・機械式駐車場開発者
野村恭三