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機械式駐車場問題を考える

第8回:鋼製床式による平面化工事の耐震性 Part1

柱が「あり」と「なし」で変わる耐震性 〜「鋼材床+鉄骨柱」の関係〜

機械式立体駐車場撤去・平面化工事を実施するにあたりポイント、平面化した際の耐震性。鋼製床で平面化した際の耐震性のポイント「柱がある」と「柱がない」構造と地震の「固有周期」との関係。

皆さん、こんにちは  
機械式立体駐車場撤去・平面化工事を実施するにあたり気になるポイントの一つが平面化した際の耐震性だと思います。今回は、鋼材床で平面化した際の耐震性に関してのお話をします。
 
まず、鋼材床で平面化工事を実施し、地震(横揺れ)が発生した際ピット内がどういう状況になるかご説明します。
 
地震が発生すると建物(もしくは、構造体)の固有周期(建物の揺れやすい揺れ方)があります。そして、その固有周期は、ピット内(コンクリート構造体)に鉄骨柱(鋼材床を支える柱)が有るか無いかが大きく関係します。
 
ピット内に鉄骨柱が有る場合、コンクリートピット構造体(以下、ピット構造体)と、鉄骨柱と鋼材床で構成された構造体(以下、鉄骨構造体)の二つの構造体が存在します。そしてこれら二つの構造体の固有周期は異なります。ピット構造体の固有周期は短いのに対して、鉄骨柱の固有周期は長いという性質があります。その結果、固有周期の異なる二つの構造体はお互いぶつかり合うことになります。また、鋼材床を敷いてあるピット上部(開口部)のコンクリートは脆弱で、共振すると被害は更に大きくなります。地震時には鋼材床の倒壊だけではなく、ピットそのものが倒壊する恐れがあります。
<イラスト:鉄骨柱と鋼材床で構成>



 
一方、鉄骨柱を設置していない場合、ピット(コンクリート構造体)と鋼材床が一体となる構造になり、地震発生時に ピットと鋼材床がぶつかり合うことはありません。更に、 耐震補強にもなります。
<イラスト:鉄骨柱なし>


 
ノムラの鋼材床「マルチステージ」は 鉄骨柱がなく、耐震性に優れた鋼材床となっております。更に平面化工事後、地上は駐車場として利用でき、地下は鉄骨柱が無い分、広々と倉庫等、 多目的に利用できます
 
マルチステージが地震に強い理由は、 柱が一本もない構造だけではありません。
また別の機会に、マルチステージの耐震性についてはお話したいと思います。
 
 
一級建築士・機械式立体駐車場開発者(代表取締役社長)
野村恭三