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機械式駐車場問題を考える

第20回:平面化工事の安全性「耐震対策」

機械式駐車場撤去・平面化工事の耐震対策と特徴

機械式駐車場を撤去・解体、そして平面化したい時、安全性、費用面、工法は、よく考慮しなければならい重要項目だと思います。本来、ピット式の機械式駐車場を解体・撤去工事を行う際は、機械式駐車場(機械設備)だけでなく、コンクリートピットも取り出し、埋戻しをするのが理想的です。しかし、コンクリートピットを壊して取り除く工法は大変高額であり、現実的ではありません。それで今日では、平面化が最も適当な工法とされています。それでも、費用面だけに注目し、平面化工事の工法の特性(リスクとデメリット)を良く理解しないまま進めてしまいますと、後日、修繕工事や定期的なメンテナンスが必要になる場合があります。 (平面化工事の種類の特性やリスクについては「第7回:機械式駐車場撤去・平面化工事の種類と特徴」をご参照下さい)
 
また、機械式駐車場を撤去し、空になった駐車場ピットは、注ぎ口を全開にした空の牛乳パックのようにたわみやすくとても脆弱な状態になっており、補強する必要があります。
(詳しくは「第19回:鋼製床式による機械式駐車場撤去・平面化工事の留意点Part2」をご参照下さい)
 
今回のコラムでは、平面化工事の安全性に焦点を当て、鋼製床式による平面化工事における耐震性対策についてご紹介致します。
 
埋め戻し、固定化、鋼製床式の代表的な平面化工事の工法の中で最も安全な工法は鋼製床式であるとコラム(第1回第7回)でも紹介しました。しかし、鋼製床式の中でも柱の設置、梁の設置向き、鋼材床板と梁の固定方法によって安全性や平面化工事後のメンテナンスの必要性は大きく左右されます。特に耐震性は駐車場のピットと梁の固定方法によって大きく変わります。
 
例えば、縦5mの駐車場ピットをA社、B社、ノムラの3社の鋼製床で比較してみましょう。それぞれ3社の鋼製床は梁の設置方法が異なります。この梁の異なる設置方法について検証してみましょう。
 
まずA社製の鋼製床。A社製の鋼製床の梁は縦方向に設置されています。この場合、地震発生時に発生する地震力は建物の重量に比例し、地震力がピットに掛かります。そうすると梁はUの字に変形しピット全体の破損の原因にもなります。
<A社製品画像>


 
続いて、縦方向と横方向に梁が設置されたB社製の鋼材床。梁が縦横両方向で固定されているから一見、頑丈そうにも見えますが、これも地震が発生した場合、縦向きの梁と横向きの梁の接合部分で S字に曲がってしまい、ピット全体の耐震性は保たれません。
<B社製品画像>


 
最後にノムラの鋼製床「マルチステージ」を見てみましょう。ノムラのマルチステージのA社B社との大きな違いは、縦方向の梁の上に、ピット全面に鋼材床を敷き詰めるように設置するという事です。床板を敷き詰めて設置することにより、 梁を固定する力を生み出し、地震力による梁の曲がりを小さくし、耐震性を高めるのです。更に詳しく説明すると、梁と鋼材床板を直接ボルトで締めるのではなく、梁と鋼材床板の間に挟み金具を入れ、高強度ボルトで締め付けます。直接ボルトで締め付けるとボルトが緩む原因になり、後日ボルトを締め直す工事・メンテナンスが必要になります(詳しくは「 第13回:機械式駐車場の撤去・平面化後のメンテナンスの必要性」をご参照下さい)。
また、鋼材床板と床板の間に緩衝ゴムを挟み込む事により、平面強度の強化、制振、防振性をより高めます。
<ノムラ「マルチステージ」画像>


 
今回のコラムでは、平面化工事後の安全性、「耐震性」に焦点を当てて紹介致しました。鋼材床式の平面化工事でも、梁の設置方法によって、耐震性は大きく異なります。一見、簡単そうな平面化工事も、工事の性質や特徴を理解しないまま進めてしまうと、後々メンテナンスや修繕工事が発生することがあります。もし、マンション管理組合またはビルのオーナーの方で機械式駐車場の撤去、平面化工事を検討されているのであれば、マンション・ビルの管理会社だけでなく、施工を実施する業者に工事の種類、特性等の説明をきちんと受ける事を推奨致します。もし、説明が曖昧、分かりにくい、納得できないのであれば、別の施工業社の検討をされた方が良いでしょう。工事後に問題が生じてから対処するとなると、金銭的、時間的な労力を費やさなければなりません。
 
機械式駐車場はなかなか中身が見えにくく、正しい情報が取りにくいのが実情です。特に工事内容や費用の妥当性の判断は大変難しいと思います。ノムラの「機械式駐車場問題を考える」のコラムでは、弊社の製品・サービスの紹介もありますが、機械式駐車場に関する工事の中身の特性や費用の妥当性についても、情報発信して参ります。また、個別にお困りの機械式駐車場の問題についての相談も承りますのでお気軽にご相談ください。
 
一級建築士・機械式駐車場開発者(代表取締役社長)
野村恭三