COLUM

機械式駐車場問題を考える

第16回:機械式駐車場業界の問題

適切なメンテナンスが実施されていない実態
表に出にくいメーカー偽装問題

皆さん、こんにちは。  
今回は私がマンションの機械式駐車場コンサルティング業務の中でよく遭遇する、メンテナンス不良と不透明な修繕工事、メーカー偽装など、機械式駐車場業界に関する問題に焦点を当てコラムにしました。
 
早速ですが、私が日々コンサルティングをやらせて頂いて日々感じる事は、「お客様のご要望以前に、既に機械式駐車場が深刻な問題を抱えている事が非常に多い」という場面に直面するという事です。私共は、お客様の要望・依頼内容を元に現場調査を開始致しますが、その前に必ず、過去の修繕履歴や定期点検報告書等の記録を読み込み検証し、集中的に調査する部分を選定してから現場に入ります。この時点で「報告書の記述内容が矛盾している」、「必要項目・記載内容がない」等、現場に入る前から不可解な点を発見する事があります。そして、調査を開始し、突き進めていくと、お客様のご要望・依頼内容以前に、もっと深刻な問題、過失や欠陥等の早急に解決しなければならない問題が発覚する事が多々あります。
 
ここで今まであった代表的な事例2つをご紹介致します。
 
<事例1>
依頼内容①…長期修繕計画の見直し
依頼内容②…既存の機械式駐車場の診断
 
定期点検報告書の点検項目では「給油済み」と記載されているが、実際に記載箇所を調査してみると、実際は給油された痕跡はなく、清掃すらされていませんでした。更に、横行駆動チェーン、昇降チェーンの伸び具合の調整を行なっていませんでした。チェーンの伸び具合の調整は日々駐車場を利用するにあたり大変重要であり、極めて危険な状況でありました。この調査を通して、点検報告書の記載内容と実物が異なり、適切なメンテナンスが実施されていない事が発覚しました。依頼内容である長期修繕計画は一旦棚上げし、早急に対処しなければいけない箇所のメンテナンス計画と提言を作成し、解決の方向へ導きました。

適切なメンテナンスについては、第11回「機械式駐車場のメンテナンスとは」をご参照下さい。)

 
<事例2>
依頼内容:
ある日突然、機械式駐車場メーカーから「無償で修理がしたい」と通達があり、「これはおかしい」と不思議に思ったマンション管理組合の住民は駐車場の診断を第三者の専門家(私共)に依頼。
 
現地調査を実施したら、機械式駐車場(駐車装置)の重要部分のボルトに欠陥がある事が判明。本来、国交省技術基準により本装置はラーメン構造(剛接合構造)であるので高張力ボルトを用いる必要があるが、普通ボルトが用いられており、メーカーの偽装行為であることが発覚しました。
 
 
このように現場調査を通して、お客様のご依頼内容以前に、深刻な問題が発覚する事がとても多いです。特に事例1のように、「メンテナンス業者の手抜き」という事例は、近年大変増えてきているように感じます。残念ながらこれが今日の機械式駐車場業界の実態なのかと思います。
 
しかし、調査を行なったから、既存の駐車場の問題が判明し、対策が打てたというのも事実です。大切なことは本質的な駐車場の問題を把握し、その上でお客様のご要望を照らし合わせ、解決策を見出していくことではないかと思います。そのためには、お客様ご自身も正しく問題を理解して頂くことが、真の解決への一歩かと思います。
 
私共はお客様の機械式駐車場の現状を正しくお伝えし、問題が発覚した場合はベストな解決策を提案する事ができます。予想もしない問題が発覚しても、率直にその問題を分かる形で正しくお伝えし、その上でお客様のご要望に沿った解決策を提案して参りたいと思います。
 
一級建築士・機械式駐車場開発者 代表取締役社長 野村恭三