コラム
機械式駐車場問題を考える

第6回:機械式駐車場のピットと平面化

機械式駐車場撤去・解体・平面化工事と「ピット」の関係性

豊洲市場関連のニュースで「ピット」と耳にするようになったけど、「ピット」って何?
「ピット」機械式立体駐車場と関係があるのか?

こんにちは。 機械式駐車場平面化工事で「ピット」という単語を耳にすると思いますが、今回は「『ピット』とは何か?」機械式駐車場撤去・平面化工事の内容を交えながらご紹介致します。
 
皆様は「ピットカバー」ってご存知ですか?

あまり聞き慣れない言葉ですが、文字通り空になったピットに蓋をするモノです。
近年では「鋼製平面化」、あるいは「鋼製床」と呼ばれる事が多くなりました。
 

ピットとは何か?

ピット(pit)とは「凹み(くぼみ)」という意味です。この凹みの中に大きなコンクリートの凹型の箱を地下に設置し、様々な目的に利用するというわけです。
 
最近では豊洲市場の盛り土問題で時々話題になる「地下空間」、これがピットです。
ピットは多くの機械式立体駐車場でも多く使われ、特にマンションで多く使われています。
<機械式駐車場撤去後の空(カラ)のピット>
 

 
ノムラも2000年代前半まで多くのピット式の機械式立体駐車場を世に送り出して参りました。
 
しかし、近年マンションでは、使われない機械式立体駐車場が増えて来ています。
 
背景には若い世代のクルマ離れや、住居人の高齢化、新しい交通網の整備等の理由でクルマを所有しない人が増えて来たからでしょう。
そうすると大容量を収納できる機械式立体駐車場の必要性はなくなり、マンション住人にとって多額な修繕・管理費だけがのしかかる厄介な代物になってしまいました。
 
そこで、「使われなくなった機械式駐車場を撤去したい」というご要望に答える解決策の一つが、ピット内にある機械式立体駐車場を撤去し、その上に鋼材の床を敷き詰めて設置し、ピットに蓋をする。

これが鋼製床式による「鋼製平面化工事」と言われるものです。
 

平面化工事=脆弱になったピットの補強+α平置きの駐車場

機械式駐車場撤去後のピットは脆弱で、注ぎ口が全開になったカラの牛乳パックのような状態になります。注ぎ口が全開になったカラの牛乳パックは最も簡単に少しの力でペシャンコになります。機械式駐車場のピットも同様で、機械式駐車装置を撤去したピットは脆弱になります。
そこで、ピットに頑丈な蓋を設置することにより、脆弱になったピットを補強し、ピットの剛性・強度を上げるだけでなく、蓋の面を平置きの駐車場としてもご利用いただけます。
 機械式駐車場撤去後の強度・剛性について詳しくは、第19回コラムをご参照ください。

 
ノムラのピットカバー「マルチステージ」は地上を平面化して駐車場にするだけでなく、駐車装置を撤去した後の大きな地下空間を有効活用できるよう工夫が施されています!!
 
例えば、地下へ移動しやすいように階段を取り付けたり、点検口を大きくしたり、用途はたくさんございます。
他にも床の取り外しが簡単、クルマが載っても不愉快なキシミ音が無く、毎日快適に使えるような技術も盛り込まれています(消音吸収構造については後日コラムで紹介致します)。
 
<ノムラの「マルチステージ」>



 


最後は「マルチステージ」の宣伝みたいになってしまいましたが、皆様にピットカバー(鋼製平面床)が何かお分かりになられたら嬉しいです。
今後も、機械式立体駐車場問題について分かり易くどんどん発信していきたいと思います。
 
一級建築士・機械式駐車場開発者(代表取締役社長)
野村恭三