COLUM

機械式駐車場問題を考える

第12回:機械式駐車場撤去・平面化工事「固定化」

「固定化」という選択肢

機械式駐車場撤去・平面化工事は「埋め戻し」でも「鋼製床(蓋)」でもない

皆さん、こんにちは。

 
最近、コンサルティング関係のコラムが多かったのですが、今回は「固定化」の工法を用いた機械式駐車場撤去・平面化工事についてお話したいと思います。平面化関連のコラムは主に「埋め戻しの危険性」や「鋼材床を用いた平面化」について多かったのですが、このコラムでは「固定化」についてメリット、デメリット、更に「固定化」を用いての平面化工事を実施する上での留意点とその対策についてご紹介致します。
 
まず、機械式駐車設備撤去・固定化の工法は、三段式の設備の場合、上段パレット・中段パレットを撤去し、下段パレットを上昇地(地上面)で固定する方法が基本となります。この際、バランスチェーンをそのまま利用し耐震強度の増強させることが、安全面で重要になります。
 
機械式駐車場の固定化を用いた平面化工事の最大のメリットは、鋼材床を用いた平面化工事より安価である点が最初にあげられると思います。確かに固定化の場合、既存の機械式駐車場パレットをそのまま利用・固定して平面化させるので、工事で使用する鋼材は少量で済みます。また、工事日数や全体的な工事費も他の「埋め戻し」や「鋼材床」よりも早いし、安価に抑えられるのは確かです。その他にも「機械式立体駐車場を完全撤去するまでの同意が得られない」、「将来的には全面撤去したいし平面化するまでの予算がない」、
「まずは使われなくなった機械式駐車場の管理・維持費を抑える為、暫定的に固定化する」選択肢としても「固定化」は有効な手段であると思います。しかし、 金銭面以外で挙げられるメリットがないのが「固定化」のある意味特徴でもあります。
 
第7回コラム「どんな方法がある?〜使われなくなった機械式立体駐車場の撤去工事の種類〜」でも固定化については少しご紹介致しましたが、固定化を用いた平面化工事はあくまで 暫定的な工法であって、 根本的な対策ではありません。固定化は、既存の駐車場パレットをそのまま使用しているため、駐車できる車の大きさが機械式の時と変わりません。また、駐車パレットとパレットの間に隙間があり、携帯電話、鍵等の小物を落としやすく、子供が立ち入ると危険な場合があります。この隙間は、技術基準の「隙間(40㎜以内)」があり、たとえ、その上に蓋を取り付けたとしても、その隙間を全部埋めることは難しいのです。また、完全に蓋で隙間を塞いでしまうと湿気が貯まり、カビ発生及びボウフラ等の害虫発生の原因となり衛生面でも良くありません。その対策として、換気口等を設ける必要があります。
 
 
そして、固定化による平面化工事の最も留意しなければならないポイントは「施工業者の技術力と良識による差が大きい」という点です。固定化による平面化工事は 決して容易なものではありません。もし、皆様の周りで、具体的な工事方法を示さず、「安全・安価・簡単」を謳い立ち寄ってくる業者が居ましたら注意が必要です。先ほどもお話しましたが、固定化による平面化工事はあくまで暫定的な工法です。安易な溶接工法を用いて固定化した場合、品質の低下、防錆劣化になります。また後日駐車設備を全面撤去したい場合、撤去工事が困難もしくはできなくなる場合があります。具体的な対策として、 「安易な溶接工法は用いない」「専用のブラケットを用いて駐車設備とコンクリートピットを固定する方法で固定化工事を実施する」。この二つの対策を施した上でないと、固定化を用いての平面化工事はリスクが伴います。
<固定化専用ブラケット①>
 


 
<固定化専用ブラケット②>


<固定化専用ブラケット③>



<駐車パレット間の隙間を防ぐ板の設置>



いかがでしょうか。「固定化」は機械式駐車場を撤去する手段としては最も安価な手法であります。しかし、「固定化」の工事の性質を良く理解せず、安易な工法で施してしまうと後々取り返しのつかない結果をもたらします。「固定化」の工事自体は決して悪い手段ではありません。このように取り返しのつかない結果をもたらさない為にも、「固定化」を実施する際は、工事実施の前に専門家に相談することをお勧めします。弊社でも、「固定化」実績もありご相談も承っております。お困りの際はお気軽にご相談ください。
 
 
 一級建築士・機械式駐車場開発者(代表取締役社長)
野村恭三