COLUM

機械式駐車場問題を考える

第31回:3段式機械式駐車場の平面化の特性と留意点

ピット3段式の機械式駐車場を平面化する際は、「ピットの深さ」、「平面化後の床面積」、「鋼製床に掛かる荷重」をよく考慮する

皆さん、こんにちは。  
数ある機械式駐車場の中でも、コンクリートピットの中に駐車機械を設置する機械式駐車場は最も市場に展開されている機種ではないかと思います。中でも昇降多段式は最もメジャーな機種でマンションや商業施設で数多く採用されております。今回のコラムでは、昇降式「3段式」に焦点を当て、3段式駐車場ピットの特性、平面化する際の考慮すべき留意点等について詳しく解説し、弊社の鋼製平面床「マルチステージ」がピット3段式の平面化において、考慮しなければいけない問題点をいかにして克服しているかについてご紹介します。


<昇降多段式>

3段式のピットは深い
3段式になるとピットの深さが3.5m以上あり、5連機を平面化して梁1本に2本の柱を建てるとすると、11本の梁がある場合22本の柱を建てることになります。また柱は、 梁との納まりと経済上柱の断面は約10cm×10cmとなります。
(経済上とは金銭をかけすぎない範囲)
 
柱高3.5mに対して幅10cm、長さ幅=35:1の 極細の長い柱 、まるで竹林のような状態になります。

<極細の長い柱の上に鋼製床が載っているイメージ図>


構造計算上は振れの検討はないので単純圧縮荷重でいいかもしれませんが、極細の長い柱の上に床を敷いた、バランスの良くない構造になってしまいます。
 
 
柱がいっぱいあるので床材は弱くても車重に耐えられる構造になっていますが、地震時の柱の中央部の揺れは想像に難くないでしょう。
 
駐車場の厄介なところは車が駐車しているか否か。
つまり車がない状態の「0t」から車が駐車されている「2t」と車重差が極端なのです。
 
平面化後は所定の場所に特定の車が駐車する車庫として利用されるケースがほとんどだと思います。特定の車が重い車の場合、 重い車が載るところは常に重い車が載る ことになります。
隣が軽自動車の車庫とすると、隣との重量差も極端になります。荷重変化の大きい集中荷重は、入出庫の繰り返し荷重で、床部が弱いと局部変形を起こしやすくなります。集中荷重を分散させることが必要です。また平面床は他にタイヤによる劣化もあり、床材の耐用年数が平面床の耐用年数となります。これはメッキの厚さも大きく影響するのでメッキの厚さも重要な要素の一つとなります。
このメッキについては後日また紹介することに致します。


<鋼製床 荷重 正面>

<鋼製床 荷重 側面>

ピットが深い3段式機械式駐車場の平面化には
マルチステージは向いている
 
マルチステージは床材が梁材と合成した構造「合成断面構造」で丈夫な構造です。そのため局部変形は他の平面床(鋼製床)より発生しにくい構造です。
<合成断面構造について詳しくは 第15回コラム を参照>
 
合成材のためタイヤの軌道上も駐車位置でも集中荷重が分散するので局部変形を起こしにくいのもマルチステージの特徴の1つです。 結果として平面床の耐用年数が長くなります
 
第18回コラム でも解説しましたが、鋼製床板を敷く方向によっても、床板の変形を助長させます。
 
また、平面床材と梁材を縦と横方向に接合(網目状)し、平面剛性を兼ね揃えた合成床とするマルチステージはピットと一体になり、駐車機撤去後の脆弱になったピットを補強し剛性を高めるメリットもあります。
 
機械式駐車場撤去後の脆弱になったピットの補強対策について詳しくは、 第19回コラム で解説していますのでご参照ください。
 
マルチステージは床材が構造体のため、丈夫な分コストは少し高くなる時もございます。特に横行装置が付いている昇降横行式では横行駆動分の床面積がコスト高になる場合があります。但し、機械式駐車場の柱がピットの上にある場合はコスト高にはなりません。
 
いかがでしたか。ピット3段式の機械式駐車場を平面化する際は、「ピットの深さ」、「平面化後の床面積」、そして「鋼製床に掛かる荷重」をよく考慮する必要があります。
適切な対策案と平面化後の方針を見据えた上で検討に入った方が、見落とすリスクも少なくする事ができるのではないかと思います。
 
一級建築士・機械式駐車場開発者
野村 恭三